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エアモアマネーにみる90年代中盤のバスケットシューズ事情

昨年末のリリース開始以来、バリエーションが増殖しているエアモアマネーは、90年代にルーツを持つバスケットボールシューズのハイブリッドモデル。オリジナルは共に1996年発売のエアマネーとエアモアアップテンポという、当時のスニーカーファンには馴染みのモデルで、それぞれのアッパーとソールを組み合わせています。

エアマネーを踏襲したアッパーは、甲全体を覆うシュラウドにオリジナルの”NIKE AIR”改め”AIR MONEY”のレタリングを刺繍するマイナーチェンジに加え、シュラウドを着脱式に改良したことでブランク(無地)の予備パーツと交換可能なパッケージが新しい(一部例外を除く)。ツーリングにはエアモアアップテンポが誇るトリプルエア搭載のソールユニットを導入し、最高水準のクッショニングを獲得したのがエアモアマネーの全体像です。

fig.1 Composition of Air More Money

そもそもエアモアアップテンポとエアマネーは、パワー重視のForce、スピード重視のFlightに加えてカテゴライズされたオールラウンダー向けのUptempoシリーズの僚機で、それぞれFall 96、Holiday 96と相次いでリリースされました。その際、エアマネーがエアモアアップテンポの2番機にあたるエアマッチアップテンポのソールユニットを流用していた事情からも双方の相性の良さが窺えます。

fig.2 Nike Men’s Basketball Uptempo

NBAにおいては、ゲーム終盤に奇跡的な逆転劇「ミラータイム」を幾度も演じてきたレジー・ミラー等に愛用されたエアマネーに対し、エアモアアップテンポはマイケル・ジョーダンと共にブルズの黄金時代を支えたスコッティ・ピッペンのシグネチャーモデルという位置付け。時まさにアトランタ五輪の開催年だっただけにエアモアアップテンポのオリンピックカラーが人気を博したのは言う迄もありませんが、バスケットシューズの常識に縛られないエアマネーの独創性もインパクトを与えました。ヒップホップカルチャーに通底する「マネー」というネーミング然り、トレンドを先取りしたトリッキーなシュラウドシステムもまた然り。

fig.3 Cards of Reggie Miller (Indiana Pacers) and Scottie Pippen (Chicago Bulls)

エアジョーダン11、エアマックスアップテンポ、エアズームフライト、エアシェイクインデストラクト……他、ナイキ・バスケットボールが傑作を量産した1996年生まれのハイブリッド、エアモアマネーがシュラウド及びヒールの刺繍でバリエーションを展開するスニーカー市場の最前線。90年代半ばの上質なデザインとテクノロジーを融合したエポックメイキングのラインナップをここに紹介します。

fig.4 Epochmaking Basketball Shoes by Nike in 1996

NIKE AIR MORE MONEY “NYC”
1996年生まれのエアマネーとエアモアアップテンポを融合したハイブリッドモデルに、レジー・ミラー着用のオリジナルカラーを彷彿させるNew York Cityエディション。ヒールに刻まれたNYCロゴがその証。”Bronx”のタグをピンストライプのメッシュ地に金糸で刺繍したシュラウドを付属。

NIKE AIR MORE MONEY
1996年オリジナル発売のエアマネーとエアモアアップテンポを融合したハイブリッドモデルより、シンプルなシンセティックレザーのアッパーにコーラルチョークの挿し色を利かせたニューカラー。シュラウドに刻まれたピギーバンク(貯金箱)のグラフィックがポイント。

NIKE AIR MORE MONEY
1996年オリジナル発売のエアマネーとエアモアアップテンポを融合したハイブリッドモデルより、ウルフグレーのデュラバック製アッパーにアイランドグリーンの挿し色を利かせたニューカラー。シュラウドに刻まれた富の象徴であるダイヤモンドのグラフィックがポイント。

NIKE AIR MORE MONEY QS “COURT PURPLE”
1996年オリジナル発売のエアマネーとエアモアアップテンポを融合したハイブリッドモデルがコートパープル名義のカプセルコレクションより登場。妖艶なパープルをまとったスエードアッパーにゴールドのレースチップが映える。ドルマークを刺繍したシュラウドのみ付属。

NIKE AIR MORE MONEY
ナイキ・バスケットボールが黄金時代を迎えた90年代半ばのエアマネーとエアモアアップテンポによるハイブリッドモデル。ミディアムオリーブのデュラバック製アッパーに赤いスウッシュとヒールのドルマークを刺繍したニューカラー。ブランクの交換用シュラウドを付属。

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岸 伸和

Nobukazu Kishi Exclusive


  1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。今秋にはWTAPS®ブック第2弾を刊行予定。

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UNDEFEATED / アンディフィーテッド

Web:http://undefeated.jp/

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