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HOKA ONE ONE®の厚底ランニングシューズ、ボンダイ6が選ばれる理由


inov-8(イノヴェイト)、ALTRA(アルトラ)、On(オン)……数年前から耳慣れないブランドがトレイルランニングのコアな市場を賑わせていたが、なかでも図抜けてユニークな存在だったのがHOKA ONE ONE®(ホカ オネオネ®)である。
ニュージランドの先住民族、マオリの言葉で「It’s time to fly (地上に舞い降りるときだ)」を意味するHOKA ONE ONE®は、トレイルランニングの耐久レースをいかに速く完走できるかをテーマに、フランスのアネシーにて2009年よりシューズ開発をスタート。「形状は機能に従う」という概念に基づきトレイルランニングシューズをデザインしたものの、当初はその独創性ゆえにランニング業界で受け入れられず、ただしHOKA ONE ONE®を履いたランナーがレースで好成績を収めるようになると、バイヤーからも注目を集めるようになった。
その後、トレイルランニングシューズの開発を通して培ってきた独自のテクノロジーが全てのランナーのパフォーマンスを向上することに気付き、ロードランニングやハイキングカテゴリーにも進出。いまやHOKA ONE ONE®の代名詞ともなった厚底ソールのパフォーマンスシューズは、カテゴリーの垣根を越えて、アスリートには勿論、ファッションシーンでも支持を得ている。

fig.1 HOKA ONE ONE®’s Recently Collection

最も記憶に新しいところでは、2017年末~18年初頭にリリースされたトゥウルトラハイWPがランニングシューズのクッショニングとトレッキングシューズの高いサポート性を兼ね備えた革新的なアウトドアブーツとして話題になり、とりわけミリタリー様式のオックスフォードタンは、トレイルランニングとは無縁のファッションユーザーに広くHOKA ONE ONE®の名を知らしめた。更に2018年秋には、そのバリエーションとしてENGINEERED GARMENTS共同製作のローカット、トゥウルトラローEGをリリースする等、HOKA ONE ONE®の躍進が続く。

fig.2 HOKA ONE ONE® Tor Ultra Hi WP (2017)

fig.3 HOKA ONE ONE® Tor Ultra Low EG (2018)

ここではHOKA ONE ONE®を代表するロードランニングシューズの定番、ボンダイの第6世代よりトーナルブラックのニューモデルについて詳述する。
まずはこのボンダイに限らず、これまでHOKA ONE ONE®のシューズと言えば、ビビッドな色同士を組み合わせた派手なカラーウェイが印象的だったが、ボンダイ6ではアッパーからソールまでソリッドに塗りつぶされたブラックがファッションユーザーの物欲を刺激。HOKA ONE ONE®ならではのボリューム感のあるシルエットもまた昨今のチャンキー(ゴツゴツした)シューズのトレンドとマッチした。
まさにフルEVAミッドソールが厚底を形成するボンダイ6のソールユニットは前代未聞。ただし、見た目の奇抜さ以上にマキシマムクッションを謳う圧倒的な衝撃吸収性に誰もが目を瞠るだろう。加えて、つま先とかかと部分を滑らかに削ぎ落とした独自のソール形状は、まるでロッキングチェアのようだが、着地から蹴り出しまでスムーズなローリング運動を誘発し、自然な体重移動と正しい足運びをガイドするメタロッカーテクノロジーに裏打ちされたイノベーティブデザイン。
そして、ジャカードメッシュにリフレクター仕様のストライプが層を成すボンダイ6のアッパーは、HOKAロゴを側面に配したHOKA ONE ONE®らしいアイコニックなエクステリアに仕上がっている。

fig.4 HOKA ONE ONE® Bondi 6 (2018)

fig.5 Past Generations of HOKA ONE ONE® Bondi

トレイルランニングのシューズ開発を足掛かりに、ロードランニング、ハイキング、フィットネス、ウォーキング、リカバリーサンダル等、常に新たなフィールドを開拓してきたHOKA ONE ONE®が創設10周年を迎えようとしている今、チャンキーシューズやトーナルブラックといったファッションシーンのトレンドとの一致を見たボンダイ6が逆に選ばれない理由は見当たらない。HOKA ONE ONE®にはこのスマッシュヒットに留まらず、更なるエポックメイキングの開発に挑んでもらいたいものだ。

HOKA ONE ONE® BONDI 6 / BLACK-BLACK
ロードランニングの代表作であるボンダイシリーズの第6世代。フルEVAミッドソールの驚異的なクッショニングとメタロッカージオメトリーの自然な推進力が跳ぶような走りを促す傍ら、厚底ソールの圧倒的なボリューム感とトーナルブラックの配色がストリートに支持されたHOKA ONE ONE®の2018秋冬モデル。

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岸 伸和

Nobukazu Kishi Exclusive


  1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。

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UNDEFEATED / アンディフィーテッド

Web:http://undefeated.jp/

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