29.エアマックス史上初の”TOTAL”を実現した世紀のエポックメイキング、エアマックス95よ永遠に

高圧ガスを封入したウレタン製のエアバッグをミッドソールに埋め込み、着地の衝撃を吸収するエアクッショニングシステムが完成した1979年。テイルウィンドに搭載されたフルレングスエアは、まもなく後足部のヒールエアと前足部のエアウェッジに分割され、クッショニングの向上を目指す過程でヒールエアの大型化が進んだ。やがてミッドソールに収まりきらなくなったヒールエアを側面の開口部から露出するアイデアが生まれ、1987年にエアマックス1が誕生する。

fig.01 Nike Tailwind (1979)

 

fig.02 Nike Air Max 1 (1987)

 

マキシマムボリュームエアを後足部にエアウェッジを前足部に搭載したエアマックス1は、それまでミッドソールに埋め込まれていたエアバッグを視覚化することでナイキエアに革命をもたらしたが、ナイキはより大きな目標を抱いていた。それはフォーム素材の重さから解放されたフルレングスエアのみが占有するソールユニット。この荒唐無稽な目標を達成するには、まず前足部にマックスエアを搭載する必要があった。ヒールのマックスエアは徐々にその露出を拡大し、180エアや270°ビジブルエアへと進化し、1994年には気圧の異なる2つのチャンバーで構成されたをマルチチャンバーエアが完成した。そして翌年のフォール期、ついに前足部のマックスエア、フォアフットビジブルエアを搭載したエアマックス95が発表される。

fig.03 Nike Air Max 95 Original Archives (1995-1996)

 

ナイキが夢想する究極のエアマックスへのファーストステップを踏み出したエアマックス95は、革新的なテクノロジーの進化と共に、デザインにおいても前衛的かつ独創的な刷新を遂げた。人体にインスピレーション得たと言うデザイナーのセルジオ・ロザーノは、アウトソールの中央に背骨を通し、シューレースと連動して足全体を包み込むアイステイを肋骨に、アイステイのテープと交差するように層を成すアッパーを筋肉に見立て、躍動感溢れる肉感的なフォルムの全く新しいエアマックスを創作した。

 

 加えて、エアマックス95ではそのカラーウェイもまた特異な存在感を放っていた。前足部と後足部に搭載されたエアを揃ってビジブル化した偉業を讃えるべく、黒いミッドソールに際立つネオンイエローのエアバッグ、筋繊維の隆起を模したアッパーサイドにグレーのグラデーションを配色。アイステイなど挿し色に再びネオンカラーを採用したFall 95リリースのメンズのファーストカラー。通称”イエローグラデ”が当時のスニーカー市場にいかなる衝撃を与え、その結果どんな事態がもたらされたかーーその経緯は詳しく述べる迄もあるまい。発売後まもなくスポーツショップの店頭から一掃されたエアマックス95は、並行輸入品としてインポートショップや古着屋で販売され、その在庫も枯渇し出すと徐々に販売価格が上昇し、極端な場合には300,000円ものプレミア価格を提示するショップまで現れた。その頃には既にHoliday 95のセカンドカラー、Spring 96のサードカラー、Late Spring 96のフォースカラーも登場するが、いずれも即完売。もはやエアマックス95の巨大なムーブメントは、スニーカー市場全体を巻き込んで押し留めることのできない勢力へと拡大していた。ブームの最終盤には偽造されたフェイクが出回り、その対策としてナイキが1997年にエアマックス95の復刻版を発売したことで、悪い夢から覚めたようにマーケットもようやく正常化した。

 

 ハイテクスニーカーのブームが飽和状態寸前の1996年10月頃、漆黒のスムースレザーで仕上げたエアマックス95が発売される。Late Spring 96を以ってインラインモデルの展開を終えていたエアマックス95に初のリミテッドエディションが登場。ただしボックスに記された名称は「AIR TOTAL MAX SC」、当時はなぜ”TOTAL”なのかといった疑問を抱えたままエアマックス95のバリエーションとして認識していた。翌年、米国オレゴン州ポートランドのナイキ本社にて、エアマックス95のデザイナーを務めたセルジオ・ロザーノを取材する機会を得て、そこで”TOTAL”の謎が解けた。エアマックス95のデザイン画として開示されたスケッチには、紛れもないエアマックス95のプロトタイプと「AIR TOTAL MAX」というタイトルの記述が! 

 

 曰く「ミッドソールの前後(=全体)にマックスエアを搭載することからエアトータルマックス。開発段階ではそう呼んでいました。この”トータル”の持つ意味は非常に重要で、この95年モデルがエアマックスシリーズの歴史を新たなフェーズへ導いたと言っても構わないでしょう。そのインパクトをデザインで表現したんです。世界的にエアマックスが認知される結果に繋がったのは良かったと思います」

fig.04 Nike Air Total Max 1-3 (1995-1997)

 

エアマックス95の登場がいかにセンセーショナルで、テクノロジーの進化においても意義深いものであったかは上述してきた通りである。日本のスニーカー市場を席巻し、まもなく世界的なブームへ発展したエアマックス95の功績は、その後も様々なコンセプトやデザインでブラッシュアップされてきたライフスタイルモデルとしての活躍も大きい。その傾向はオリジナル登場から20年以上を経過した今もなお受け継がれ、エアマックス95 OGやエッセンシャルといったスタイルで増殖し続けている。凹凸感のある層を重ねたアッパーサイドにグラデーションを配色するも良し、ボーダーで仕上げるのも良し。シューレースと連動するアイステイやシュータンなどディテールの要素は少なくとも、効果的なアクセントとして働く点ではデザイナーにとっても創意工夫の見せ所だろう。ここでは最新リリースのエアマックス95をラインナップする。

AIR MAX 95 OG – PINK BLAST
’90年代後期のハイテクスニーカーブームを牽引したエアマックス95のオリジナル様式を受け継ぐニューモデル。前後にマックスエアを搭載した革新的なテクノロジーを彩る蛍光ピンクのアシンメトリー(非対称)デザイン。漆黒のサイドパネルを際立たせる画期的なアプローチ。

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NIKE AIR MAX 95 OG – PINK BLAST(cu1930-066)/17,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95 SP – PSYCHIC BLUE
トゥガードとヒールにデニムのファブリックを使用し、サイドパネル、エアバッグ、アイステイをそれぞれマルチカラーで配色した左右非対称のクレイジー仕様。色も太さも異なる左右のシューレースにハートと太陽をモチーフにしたチャームを付属するスペシャルエディション。

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NIKE NIKE AIR MAX 95 SP – PSYCHIC BLUE(CK5669-400)/18,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95 LV8 – BLACK/COURT PURPLE

オリジナルで絶賛されたサイドパネルのグラデーションを継承するエアマックス95のニューカラー。ブラックベースにモノトーンカラーのグラデーションとシュータンのグレープの挿し色を共有したLV8シリーズ。

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NIKE AIR MAX 95 LV8 – BLACK/COURT PURPLE(ao2450-002)/17,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95 LV8  – GRAPE

エアマックス95がデビューを果たすFall 95発ウィメンズのファーストカラー、グレープを踏襲したメンズ仕様のニューモデル。メンズのネオンイエローとは対照的に爽快感溢れる洗練されたカラーウェイは未だ健在。

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NIKE AIR MAX 95 LV8 – GRAPE(ao2450-101)/17,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95  – WHITE/MIDNIGHT NAVY

Spring 96リリースのウィメンズカラーをを彷彿させるサイドパネルのボーダー仕様。人体の筋肉をイメージした凹凸感のあるサイドパネルをネイビーのストライプで彩り、コントラストの効いた蛍光ピンクを挿すエアマックス95。

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NIKE AIR MAX 95 – WHITE/MIDNIGHT NAVY(CQ3644-161)/17,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95 – WHITE/UNIVERSITY RED

Spring 96リリースのウィメンズカラーをを彷彿させるサイドパネルのボーダー仕様。人体の筋肉をイメージした凹凸感のあるサイドパネルをユニバーシティレッドのストライプで彩り、コントラストの効いた蛍光イエローを挿すエアマックス95。

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NIKE AIR MAX 95 – WHITE/UNIVERSITY RED(cq3644-171)/17,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

 

AIR MAX 95 ESSENTIAL – COSMIC CLAY

ウィートをベースに粘土色のサイドパネルとミッドソールを組み合わせたオーガニックなツートーンカラー。シュータンにナイロンリップストップを採用したエアマックス95エッセンシャルの最新作。

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NIKE AIR MAX 95 ESSENTIAL – COSMIC CLAY(at9865-014)/16,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

AIR MAX 95 ESSENTIAL – WHITE/GREEN

プラチナカラーのアッパーに漆黒のサイドパネルとミッドソールを組み合わせたソリッドなツートーンカラー。シュータンにナイロンリップストップを採用したエアマックス95エッセンシャルの最新作。

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NIKE AIR MAX 95 ESSENTIAL – WHITE/GREEN(at9865-004)/16,000yen(+sales tax)詳しくはこちら

 


岸 伸和

Nobukazu Kishi Exclusive


  1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。

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