UNDEFEATEDが創業以来、これまでに手掛けてきたフットウェアのコラボレーションをアーカイブするスペシャルコンテンツ。スニーカー市場を沸騰させた超レアなプレミアモデルから玄人趣味のアレンジが際立つコラボまで順次ラインナップ。それぞれ時代のカラーを映してきたUNDEFEATED別注の軌跡をここに綴り、永久保存版のカタログを編纂する。

ARCHIVES by UNDEFEATED
Vol.5

adidas Ultra Boost 1.0
UNDFTD

 アディダスが衝撃吸収性と反発弾性という相反する機能を両立し、クッショニングの最高峰を極めたBOOST™フォームは、2013年リリースのEnergy Boostに搭載された画期的なイノベーションだった。発泡スチロールを押し固めてミッドソールを形成したかのようなBOOST™フォームの不思議な見た目は、粒子状の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を一旦発泡させた状態で高圧特殊製法によりソール型に成形したもの。個々の発泡体が小さなエネルギーカプセルとして連結することで、長期に渡って衝撃吸収性と反発弾性を維持するのに成功し、また従来のEVAが課題とされた外気温による硬度変化や耐久性もクリアしていた。Energy Boostのミッドソールに敷き詰められたBOOST™フォームは、単一素材ながらEVA比で反発性70%向上という脅威のデータを叩き出し、パフォーマンスモデルとしての面目を躍如。こうしてBOOST™フォームの時代が始まった。

 次にミッドソールのつま先から踵まで全領域をBOOST™フォームで占拠した進化形態、Ultra Boostが2015年にデビューする。アディダスが誇る先進テクノロジーの一つ、プライムニット素材のアッパーはシュータンと履き口が一体成形されたブーティ構造で、軽量かつ通気性に優れ、靴下のようなフィット感と履き心地を提供。BOOST™フォーム100%のミッドソールはランニング最優先のつま先を巻き上げたフォルムに蜘蛛の巣状の(スパイダーウェブ)アウトソールを装着したシンプルな構造。このアウトソールはのちに自動車のタイヤメーカーとして知られるコンチネンタル社の別注品に変更され、耐久性に目覚しい進化が確認された。そうしてアイレットを兼ねた3ストライプとヒールカップやシューレースで構成されたUltra Boostのミニマルな様式はそのままに、バージョン1.0から4.0へとマイナーチェンジを繰り返し、またBOOST™フォームのボリュームを増量しながらUltraboost 19、Ultraboost 20、Ultraboost 21へと進化を遂げる。

 BOOST™フォームが着地の衝撃を吸収し、蓄積されたエネルギーを反発力に変換する、その繰り返しによる弾むような履き心地を持続するーートランポリン効果を謳ったUltra Boostの初期型(1.0)をベースに過去3度に渡ってコラボモデルを展開してきたUNDEFEATED別注の履歴をここに綴る。その第1弾は2018年4月リリース、黒と白のメッシュアッパーを横断するブランディングの潔さ。モノトーンを基調に手掛けたカプセルコレクションより登場。次いで第2弾は同年11月リリース、3ストライプの裏面にブランディングを施したグレーメッシュと総柄プリントのアウトラインをリフレクターで縁取ったカモフラージュの2型。こちらもアパレル連動のカプセルコレクションより登場したもの。最後に2019年5月リリース、白と黒のプライムニットアッパーに星条旗を彷彿させる配色で5ストライクをあしらったトリコロールとチャコールグレーのブランディングを影に見立てたシャドウというラインナップ。これまでトータル6型を別注したUNDEFEATEDのUltra Boostへのこだわりは本物だろう。

 アディダスの先進テクノロジーの最高峰に位置するBOOST™フォームを搭載したUltra Boostは言う迄もなくパフォーマンスグループのハイエンドモデルである。にも関わらず、UNDEFEATED別注を受け入れる背景には当然ながらUltra Boostの別注モデルを通してBOOST™フォームの先進性を世間に拡散したいアディダスの思惑もあったに違いない。だが、それでもなおアディダスのトップパフォーマンスモデルをUNDEFEATEDが独自の世界観でアレンジしたコラボレーションの存在は、スニーカーカルチャーの歴史に燦然と輝く偉業としてこれからも語り継がれるだろう。


岸 伸和 – Nobukazu Kishi Exclusive
1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。

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