ARCHIVES by UNDEFEATED
Vol.7

adidas Originals
ZX 8000 UNDFTD Consortium
“AZX Project”

 アディダスの歴史的なランニングシューズと言えば、SL-72やSL-76など”Super Light”を謳ったトレーニングシューズをはじめ、野山をフィールドに想定したクロスカントリー用のカントリーなど1970年代の名機に次いで、1980年代には路面の傾斜に関わらず常に着地時の足の角度を正しく補正する独立懸架システム搭載のマラソントレーナーやマラソン80を発表。更に1980年発表のL.A.トレーナーではショックアブソービングロッドを採用し、ミッドソールのヒール部分に挿し込むスティックの組み合わせでランナー自身がクッショニングを調整する可変式クッショニングテクノロジーに挑戦した。このクッショニングをカスタマイズする技術は、当時のスポーツシューズ業界においては最先端を独走しており、その成果はアウトソールに空気を注入することでクッショニングを調整するチュブラー(1994年)やランナーに最適なクッショニングを瞬時に提供するマイクロチップ内蔵のアディダス 1(2005年)へと受け継がれるが、それについての詳細を語るのは別の機会に譲ろう。

 そんなランニングシューズのテクノロジーにおいて世界を牽引していたアディダスがシリアスランナー向けのトップモデルを体系化したZXシリーズを発表したのが1984年。日本を代表するオートバイメーカーのKAWASAKIが誇るZX系の疾走感にインスピレーションを得て命名されたZXシリーズ。その第1弾のZX500は、TPUパーツのヒールクリップやD管をいち早く導入し、トレイルランを想定した長距離トレーニングシューズとして登場。以来、テクノロジーを細分化しながら様々な品番をリリースしてきたZXシリーズが最大の進化を遂げたのが1989年発表のZX8000だろう。世はクッショニングテクノロジーの戦国時代、1980年代末期のスポーツメーカー各社が競って衝撃吸収性の向上にフォーカスする中、アディダスでは捻じれを意味するトルションに注目、人間の足の動きを科学的に解析することで自然な捻じれを促すためのパーツ、トルションバーをミッドソール中足部に内蔵した。このZX8000を以てZXシリーズの一つの完全形態を示したアディダスは、パフォーマンスモデルの最高峰を1991年以降、EQT(エキップメント)シリーズへと移行する。

 1980年代の先進テクノロジーを凝縮したZX8000はアディダスを代表するエポックメイキングの一つで、その勇姿は30年以上に渡って幾度も復刻されてきたが、その他シームレスアッパーに進化を遂げたZX FLUXにおいてはソールユニットを提供し、またBOOSTフォームをミッドソールに搭載したZX8000 BOOST、更にリーボック・ポンプフューリーと奇跡の融合を果たす際にもベースモデルとして選出される等、事あるごとに表舞台に担ぎ出されてきた。今回紹介するUNDEFEATED共同製作のZX8000はアディダスコンソーシアムで2008年に企画された”A-ZXプロジェクト”よりリリースされたリミテッドエディション。メッシュとスエードとTPUパーツで構成されたアッパーからアウトソールまでオレンジに染め上げ、シューレース、インソール、トルションバーをネオンイエローで配色したUNDEFEATED別注の証はシュータンの織りネームに刻まれた5ストライクにあり。

 それから12年の歳月を経てリリースされた再びの”A-ZXプロジェクト”は、A BATHING APE®をパートナーに加え、アッパーメッシュにBAPE®カモの総柄プリントをブラックとグリーンの同系色で施し、シュータンの織りネーム及びヒールにそれぞれ5ストライクとBAPE®フェイスを配したZX8000のトリプルコラボレーション。これが2020年11月にリリースされるや、新たに2021年4月にはNEIGHBORHOODをパートナーに迎えたZX8000のトリプルコラボレーションが再び。BAPE®とのトリプルコラボ同様、生ゴムソールを踏襲し、ソリッドなボディにブラックとホワイトを基調にリフレクターを際立たせた最新作。レトロテックを凝縮したZX8000の別注モデルにUNDEFEATEDの世界観を垣間見ることができるだろう。


岸 伸和 – Nobukazu Kishi Exclusive
1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。

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