UNDEFEATEDが創業以来、これまでに手掛けてきたフットウェアのコラボレーションをアーカイブするスペシャルコンテンツ。スニーカー市場を沸騰させた超レアなプレミアモデルから玄人趣味のアレンジが際立つコラボまで順次ラインナップ。それぞれ時代のカラーを映してきたUNDEFEATED別注の軌跡をここに綴り、永久保存版のカタログを編纂する。

ARCHIVES by UNDEFEATED
Vol.8

NEW BALANCE MT580
UNDEFEATED x STUSSY x MAD HECTIC
“TRIPLE THREAT”

 本国アメリカ仕様で展開されていたオフロードランニングシューズ、585をベースに日本企画としてアップデイトされたのがニューバランスMT580である。未舗装のオフロードを走破する目的で開発されたニューバランスの500番台は、スマートなフォルムを信条とするニューバランスにあって珍しくもボリューム感のあるシルエットと安定性に優れたソールユニットを特徴に、これまで着実にバリエーションを拡大してきた。このカテゴリーを代表するのがアメリカ生産のクラシック品番576であることは言う迄もないが、とりわけ1996年に開発されたばかりという築浅モデルのMT580は、サイドパネルの小振りなNマークに寄せてTPUパーツを導入する他、クッション性に優れたフルレングスABZORBミッドソールとPUインソールで構成されたハイスペックなツーリングを採用する等、ニューバランスの中でも先進性に富んだ唯一無二の存在だ。

 そんなスペック以上に輝きを放つMT580の独特な魅力にいち早く注目したのが東京の高感度なアパレルブランドとスニーカーショップの老舗だった。サードパーティ同士がタッグを組んでメーカーとのコラボレーションを展開する企画自体、まだ画期的だった2000年、遂に独創的な感性に彩られたトリプルコラボを発表した。ピスタチオをはじめとする洗練されたカラーパレットが話題を呼んだ成功体験がその後のMT580の可能性を切り拓き、更なるコラボレーションの扉を開く。そして2006年、満を持してリリースされたトリプルスレットこと「UNDEFEATED」「STUSSY」「MAD HECTIC」によるクワトロコラボもその文脈に連なる作品の一つだ。三者三様の世界観を持つブランド同士が一つの方向性を見出し、具現化されたMT580は既存のどのモデルよりも凶暴で破壊的なカラーパレットから3色展開した。玉虫色のメッシュアッパーにレッド、パープル、ピンクのオーバーレイをスエード素材で配色し、その他のディテールにはイエロー、サックス、ライムといった見栄え重視のパーツを組み合わせる、究極のクレイジーカラー揃い。

 ニューバランス史上は勿論のことスニーカーカルチャーの歴史を紐解いても、ここまでクレイジーな配色に徹したケースがあっただろうか。前代未聞の色彩感覚を駆使したトリプルスレット別注モデルはこれにて幕引きとはいかず、このあと一層のブーストを発揮し、スニーカーシーンに一悶着を巻き起すが、それはまた別の機会に譲ることとしよう。

NEW BALANCE MT580 UNDEFEATED x STUSSY x MAD HECTIC “TRIPLE THREAT” (2006)


岸 伸和 – Nobukazu Kishi Exclusive
1972年生まれ、神奈川県出身。雑誌『Boon』(祥伝社) にてライターとして活動を開始。90年代のスニーカー全盛期には同誌のスニーカー特集や別冊の多くを担当、以降ライフワークの一環としてスニーカーを嗜んでいる。近年はアパレルブランドのカタログやWEBコンテンツの制作ほか、ブランドやクリエイターの活動をアーカイブした書籍を手掛ける。


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